ゴルフ会員権確認訴訟事件(事情変更の原則)
(平成9年7月1日最高裁)
事件番号 平成8(オ)255
この裁判では、
事情変更の原則と契約締結時の
当事者の予見可能性及び帰責事由、
ゴルフクラブ入会契約締結後のゴルフ場の
のり面の崩壊という事情の変更と
ゴルフ場経営会社の予見可能性及び帰責事由について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
事情変更の原則を適用するためには、
契約締結後の事情の変更が、
当事者にとって予見することができず、かつ、
当事者の責めに帰することのできない事由によって
生じたものであることが必要であり、かつ、
右の予見可能性や帰責事由の存否は、
契約上の地位の譲渡があった場合においても、
契約締結当時の契約当事者についてこれを判断すべきである。
一般に、事情変更の原則の適用に関していえば、
自然の地形を変更しゴルフ場を造成するゴルフ場経営会社は、
特段の事情のない限り、ゴルフ場ののり面に崩壊が
生じ得ることについて予見不可能であったとはいえず、また、
これについて帰責事由がなかったということもできない。
けだし、自然の地形に手を加えて建設されたかかる施設は、
自然現象によるものであると人為的原因によるものであるとを問わず、
将来にわたり災害の生ずる可能性を否定することはできず、
これらの危険に対して防災措置を講ずべき必要の生ずることも
全く予見し得ない事柄とはいえないからである。
本件についてこれをみるのに、原審の適法に確定した
前記の事実関係によれば、本件ゴルフ場は
自然の地形を変更して造成されたものであり、
D観光がこのことを認識していたことは明らかであるところ、
同社に右特段の事情が存在したことの主張立証もない本件においては、
事情変更の原則の適用に当たっては、
同社が本件ゴルフ場におけるのり面の崩壊の発生について
予見不可能であったとはいえず、また、
帰責事由がなかったということもできない。
そうすると、本件改良工事及びこれに要した費用130億円が
必要最小限度のやむを得ないものであったか否か並びに
D観光に対して本件改良工事の費用負担を求めることが
事実上不可能か否かについて判断するまでもなく、
事情変更の原則を本件に適用することはできないといわなければならない。
・行政書士受験生にオススメのAmazon Kindle Unlimitedで読める本
スポンサードリンク
関連記事