同一当事者間の複数の金銭消費貸借契約の過払金の他債務への充当の可否

(平成23年7月14日最高裁)

事件番号  平成23(受)332

 

この裁判では、

同一当事者間で複数の金銭消費貸借契約が

順次締結された場合において、

先の基本契約に基づく弁済により過払金が発生したときの

他債務への充当の可否について裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

同一の貸主と借主との間で継続的に貸付けと

その弁済が繰り返されることを予定した

基本契約(以下「第1の基本契約」という。)が締結され,

この基本契約に基づく取引に係る債務の各弁済金のうち

制限超過部分を元本に充当すると過払金が発生するに至ったが,

過払金が発生することとなった弁済がされた時点においては

両者の間に他の債務が存在せず,その後に,

両者の間で改めて金銭消費貸借に係る

基本契約(以下「第2の基本契約」という。)が

締結され,第2の基本契約に基づく取引に係る債務が発生した場合には,

第1の基本契約に基づく取引により発生した

過払金を新たな借入金債務に充当する旨の合意が

存在するなど特段の事情がない限り,

第1の基本契約に基づく取引に係る過払金は,

第2の基本契約に基づく取引に係る債務には

充当されないと解するのが相当である。

 

そして,第1の基本契約に基づく貸付け及び弁済が

反復継続して行われた期間の長さやこれに基づく

最終の弁済から第2の基本契約に基づく最初の貸付けまでの期間,

第1の基本契約についての契約書の返還の有無,

借入れ等に際し使用されるカードが発行されている場合には

その失効手続の有無,第1の基本契約に基づく

最終の弁済から第2の基本契約が締結されるまでの間における

貸主と借主との接触の状況,第2の基本契約が締結されるに至る経緯,

第1と第2の基本契約における利率等の契約条件の異同等の事情を考慮して,

第1の基本契約に基づく債務が完済されても

これが終了せず,第1の基本契約に基づく取引と

第2の基本契約とが事実上1個の連続した貸付取引であると

評価することができる場合には,

上記合意が存在するものと解するのが相当である。

 

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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