リラックス法学部 士業の職域(行政書士、弁護士、司法書士、税理士などの仕事)>行政書士の職務、職域について(弁護士、司法書士との関係)

 

今回は、行政書士の職務、職域について説明します。

法律の専門家と言えば弁護士を連想する方が多いと思いますが、

法律に関係する職務を行うものとして、

行政書士、司法書士、海事代理士、税理士、弁理士、社会保険労務士、

土地家屋調査士など、「隣接法律専門職」と呼ばれる職業があります。

 

弁護士は法律に関する職務はすべて行うことができ、

その他隣接法律専門職と呼ばれる士業は、

それぞれの限定された範囲で

業務を行うことができるということになっています。

 

各士業が行うことのできる業務は、

各士業を規定した法律で定められ、

今回説明する行政書士の職務については、

行政書士法という法律に定められています。

行政書士法には、行政書士制度の目的、行政書士の業務、

行政書士になる方法などが定められています。

 

行政書士になるには、行政書士になる資格を有して、

日本行政書士会連合会に備える

行政書士名簿に登録をすることが必要です。

 

資格を有していても、

登録をしていなければ、行政書士ではなく、

行政書士業務を行うことはできません。

 

行政書士となる資格を有する者は次の者と

行政書士法に定められています。

 

・行政書士試験に合格した者

・弁護士となる資格を有する者

・弁理士となる資格を有する者

・公認会計士となる資格を有する者

・税理士となる資格を有する者

・公務員で行政事務に相当する事務を

担当した期間が通算して二十年以上になる者

 

これらのいずれかに該当する者が

登録をすることで行政書士となることができます。

 

 

行政書士の業務は、

行政書士法の第一条の二、第一条の三に

規定されていますが、

他人の依頼を受け報酬を得て、

次の書類について、代理人として作成すること、

書類の作成について相談に応ずることと規定されています。

・官公署に提出する書類

・権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)

 

ただし、ここで注意が必要なのは、

第一条の二2項で、

「行政書士は、前項の書類の作成であつても、

その業務を行うことが他の法律において

制限されているものについては、

業務を行うことができない。」

とあり、行政書士が行うことができない業務があると

規定されています。

 

ですから、行政書士の業務は、

「他の法律で制限されたもの以外の」

という規定の仕方がされていますので、

他の隣接法律専門職との関係が非常に重要で、

デリケートな部分となります。

 

弁護士法、司法書士法などで

他士業が独占業務としている部分に

ついては、行政書士は業務を行うことができないということですので、

行政書士の業務を理解するためには、

弁護士法、司法書士法や

その他独占業務を持つ士業の法律も

理解していなければならないということになります。

 

例えば司法書士の代表的な業務は、

登記手続についての代理ですが、

登記の申請は法務局に対して行いますので、

「官公署に提出する書類」に該当すると言えますが、

登記手続きに関しては司法書士の独占業務となっているため、

行政書士は行うことができないということになります。

 

ですから、株式会社設立という業務を行う場合、

最終的に株式会社の設立登記を行って

法人が完成することになりますが、

行政書士は、会社の定款を作成するという

「権利義務に関する書類」の作成を

することはできますが、

登記申請を行うことはできませんので、

登記申請業務については、

司法書士に任せることが必要となります。

 

 

行政書士が依頼を受ける案件は、

この例のように他士業の独占業務を含んで

完結する場合が多いですので、

他士業との連携が必要不可欠となります。

 

このように、行政書士業務は他士業との業際を意識して、

他士業と連携して行っていく必要がありますが、

各士業の業務を定めた法律の規定は

明確な部分もありますが、

抽象的な部分も少なくなく、

実際の出来事、事例を判断するにあたり、

それが職域の内側(合法)なのか、外側(違法)なのか、

その解釈がわかれる場合も多くあります。

その判断をするのが裁判所です。

 (裁判沙汰にならない場合は、

判断がされないまま、

 「グレー」として扱われていることもあることもあります)

裁判所が判断をした場合は、

それがその後の基準となりますが、

以後、その判断とは異なる結論が出されることもあります。

要するに各士業の業際は、

変化しうる部分、グレーな部分があり、

必ずしも明確ではない部分があり、

その点について争われることが多くあるのです。

 

今回は、行政書士の職務と職域についての概要の説明ということで、

行政書士業務と他士業との関係性などの説明をしてきましたが、

別の回で、解釈がわかれる場合や、

士業の業際が問題となった例、

実際の裁判例などをご紹介し、具体的なお話をしていきますので、

あわせてご覧いただければと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


行政書士試験にわずか147日で合格した勉強法

行政書士受験生にオススメのAmazon Kindle Unlimitedで読める本


スポンサードリンク

関連記事