リラックス法学部 >行政法をわかりやすく解説 >聴聞手続きの審理の方式についてわかりやすく解説
行政庁が不利益処分をする場合、
原則として意見陳述の手続きが必要となります。
意見陳述の手続きは
「聴聞」と「弁明の機会の付与」
の2種類がありますが、
今回は「聴聞の手続きの審理の方式」
について説明していきます。
聴聞手続きの審理の方式
聴聞手続きは
「当事者」「主宰者」「行政庁の職員」「参加人」
という登場人物で、
「主宰者」が裁判官のようなポジションで
裁判のようなイメージで当事者、
参加人が意見を述べていくという手続きですが
審理の方式について行政手続法の21条に規定されています。
第二十条 主宰者は、最初の聴聞の期日の冒頭において、
行政庁の職員に、予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項並びに
その原因となる事実を聴聞の期日に出頭した者に対し説明させなければならない。
2 当事者又は参加人は、聴聞の期日に出頭して、意見を述べ、及び証拠書類等を提出し、
並びに主宰者の許可を得て行政庁の職員に対し質問を発することができる。
3 前項の場合において、当事者又は参加人は、主宰者の許可を得て、
補佐人とともに出頭することができる。
4 主宰者は、聴聞の期日において必要があると認めるときは、
当事者若しくは参加人に対し質問を発し、意見の陳述若しくは証拠書類等の提出を促し、
又は行政庁の職員に対し説明を求めることができる。
5 主宰者は、当事者又は参加人の一部が出頭しないときであっても、
聴聞の期日における審理を行うことができる。
6 聴聞の期日における審理は、行政庁が公開することを
相当と認めるときを除き、公開しない。
と、このように当事者、参加人は意見を述べ、
証拠書類を提出できるわけですが、
主宰者の許可を得て、
行政庁の職員に質問をする事もできます。
逆から言えば「主宰者の許可がなければ
行政庁の職員に質問できない」
という事に注意しましょう。
むやみやたらに質問を認めると
審理が混乱して長引くからだと
イメージしていただければと思います。
また、当事者、参加人は主宰者の許可を得て
「補佐人」を引き連れてくる事ができます。
補佐人は当該不利益処分について専門知識をもった者で、
当事者、参加人の援護射撃をしてくれる人間です。
主宰者が「必要があると認める時」にとれる行動も、
いったん上に戻って
条文で確認しておいてください。
続いて行政手続法21条を見てみましょう。
第二十一条
当事者又は参加人は、聴聞の期日への出頭に代えて、
主宰者に対し、聴聞の期日までに
陳述書及び証拠書類等を提出することができる。
2 主宰者は、聴聞の期日に出頭した者に対し、
その求めに応じて、
前項の陳述書及び証拠書類等を示すことができる。
当事者、参加人は出頭に代えて、
陳述書、証拠書類を提出する事ができます。
聴聞手続きは口頭で意見を言える場ですが、
不利益処分を受ける当事者、
参加人が書類の提出でいいというなら、
それでよいという事です。
こちらは「主宰者の許可」は必要ない事に注意しましょう。
試験のひっかけ問題で「主宰者の許可を得て、出頭に代えて」
なんて出題がされそうですね!
続いて23条いってみましょう。
第二十三条
主宰者は、当事者の全部若しくは
一部が正当な理由なく聴聞の期日に出頭せず、かつ、
第二十一条第一項に規定する陳述書若しくは証拠書類等を提出しない場合、
又は参加人の全部若しくは一部が聴聞の期日に出頭しない場合には、
これらの者に対し改めて意見を述べ、及び証拠書類等を提出する機会を与えることなく、
聴聞を終結することができる。
2 主宰者は、前項に規定する場合のほか、
当事者の全部又は一部が聴聞の期日に出頭せず、かつ、
第二十一条第一項に規定する陳述書又は証拠書類等を提出しない場合において、
これらの者の聴聞の期日への出頭が相当期間引き続き見込めないときは、
これらの者に対し、期限を定めて陳述書及び証拠書類等の提出を求め、
当該期限が到来したときに聴聞を終結することとすることができる。
このように、正当な理由なく出頭せず、
書類の提出も行わない場合、
つまり当事者、参加者にやる気がない場合は、
主宰者は催促する事なく聴聞を
終結する事ができます。
1項と2項の違いは「正当な理由」の有無です。
2項では正当な理由が有る場合でも、
相当期間、出頭、書類の提出が見込めない場合に
聴聞の終結をできるという事を規定しています。
という事で、
今回は聴聞手続きの審理の方式について説明してまいりました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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