リラックス法学部 >行政法をわかりやすく解説 >取消訴訟 執行不停止の原則についてわかりやすく解説
執行不停止の原則
取消訴訟における重要な原則
「執行不停止の法則」について
今回は説明していきたいと思います。
文字通り、取消訴訟が提起されても、
執行は停止せずに遂行されていきます。
ただし例外的に執行が停止する場合もあります。
行政事件訴訟法の条文を見てみましょう。
(執行停止)
第二十五条
処分の取消しの訴えの提起は、
処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。
2 処分の取消しの訴えの提起があつた場合において、
処分、処分の執行又は手続の続行により
生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、
裁判所は、申立てにより、決定をもつて、
処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は
一部の停止(以下「執行停止」という。)
をすることができる。
ただし、処分の効力の停止は、
処分の執行又は手続の続行の停止によつて
目的を達することができる場合には、
することができない。
重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、
申立てにより、執行を停止する場合があります。
裁判所が重大な損害を避けるため
緊急の必要があると判断した時でも、
「申立て」がなければ執行は
停止できないことに注意しましょう。
「処分の効力の停止は、処分の執行又は
手続の続行の停止によつて目的を
達することができる場合には、
することができない。」
とは、「処分の効力」を否定せずとも、
「執行」や「手続きの続行」を停止すれば
重大な損害を避けることができるのであれば、
その範囲で停止し、処分の効力を停止する必要はない
という事です。
また、条文を見てみましょう。
第二十五条
4 執行停止は、公共の福祉に
重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、
又は本案について理由がないとみえるときは、
することができない。
公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときも、
執行停止をすることはできません。
「本案について理由がないとみえるとき」とは、
要は原告の敗色が濃厚な場合に
悪あがきしてもムダと考えていただければよいと思います。
また、こちらの規定にも注意しましょう。
(内閣総理大臣の異議)
第二十七条
第二十五条第二項の申立てがあつた場合には、
内閣総理大臣は、裁判所に対し、
異議を述べることができる。
執行停止の決定があつた後においても、同様とする。
2 前項の異議には、理由を附さなければならない。
3 前項の異議の理由においては、
内閣総理大臣は、処分の効力を存続し、
処分を執行し、又は手続を続行しなければ、
公共の福祉に重大な影響を
及ぼすおそれのある事情を示すものとする。
4 第一項の異議があつたときは、
裁判所は、執行停止をすることができず、
また、すでに執行停止の決定をしているときは、
これを取り消さなければならない。
5 第一項後段の異議は、執行停止の決定をした
裁判所に対して述べなければならない。
ただし、その決定に対する抗告が
抗告裁判所に係属しているときは、
抗告裁判所に対して述べなければならない。
6 内閣総理大臣は、やむをえない場合でなければ、
第一項の異議を述べてはならず、また、
異議を述べたときは、次の常会において
国会にこれを報告しなければならない。
このように内閣総理大臣から
執行停止に対する異議を述べる事ができます。
内閣総理大臣が異議を述べたら、
執行停止前ですと、執行停止する事ができず、
執行停止後ですと、執行停止をストップ、
つまり執行を再始動させなければいけません。
要は、内閣総理大臣が異議を述べたら執行は進んでいくという事です。
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