徳島市公安条例事件

昭和50年9月10日最高裁

事件番号  昭和48(あ)910

 

デモ行進中、警察署長の道路使用許可条件に違反して、

約5分ほど蛇行進等の行為を扇動し、自らも行ったXが、

蛇行進について道交法違反、

交通秩序の維持に反する行為をするよう

参加者を扇動した行為について徳島市条例違反として、

起訴されました。

 

一審、二審は、

条例は、道交法の対象事項を規制できないという前提で、

道交法違反のみを有罪としました。

これに対して、検察官が上告したのが本件です。

 

当時の道路交通法において

道路使用許可の条件についての違反の罰則が

3月以下の懲役又は3万円以下の罰金に処する旨の

罰則を定めていたのに対し、

集団行進及び集団示威運動に関する条例(「徳島市公安条例」)における、

条例違反における罰則が1年以下の懲役若しくは禁錮又は

5万円以下の罰金に処するとされており、

法律より条例のほうが重い罰則が定められおり、

このような条例が許されるのか、

同条例の文言の明確性について争われました

 

憲法94条は、「地方公共団体は、(中略)

法律の範囲内で条例を定めることができる。」

と規定し、地方自治法14条1項において

「普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて

第2条第2項の事務に関し、条例を制定することができる。」と規定し、

条例が法令の範囲内のなかでのみ

定めることができることを規定

していますが、最高裁は、

「両者の対象事項と規定文言を対比するのみでなく、

それぞれの趣旨、目的、内容及び効果を比較し、

両者の間に矛盾牴触があるかどうかによって

これを決しなければならない。」

として、道交法と本条例の規制目的に

部分的に共通点があっても、

直ちに道交法に違反しないとしました。

それまで既存の法令と規制対象が重複する条例は、

排除されるという法律先占論の考え方が支配的でしたが、

本判例は、法律と条例の趣旨・目的等を比較して、

違反の有無を判断すべきとしました。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

 

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