高田事件
昭和47年12月20日最高裁
事件番号 昭和45(あ)1700
集団暴力事件、住居侵入罪等で起訴された
被告人が、同事件の裁判の途中で、
審理が事実上中断され、15年余りもの間、審理が
全く行われない状態が続きました。
憲法37条1項は、
迅速な裁判を受ける権利の保障に反しないのか、
が問題となりました。
裁判所は、憲法37条1項の迅速な裁判を受ける権利は、
憲法の保障する基本的人権であり、
単に迅速な裁判を一般的に保障するために必要な、
立法上、司法行政上の措置を要請するにとどまらず、
個々の刑事事件において、審理の著しい遅延が生じた場合、
対処すべき具体的な規定がなくても、
その審理を打ち切るという非常救済手段をも
認める規定であるとしました。
審理の遅延が憲法の保障する権利に反する事態に
至っているかどうかは、
遅延の期間のみで一律に判断されるべきではなく、
遅延の原因と理由など諸般の情況を総合的に判断して
決せられなければならないとしました。
学説には、審理打切りによる救済を受けるためには、
検察官の立証が終わるまでの間に、
被告人の審理促進要求が条件となる
とする見解(要求法理)がありますが、
本件では、その説は採用せず、
被告人が積極的に審理促進を要求しなくても、
その一事をもって、迅速な裁判を受ける権利を放棄したと
推定することはできないとしました。
憲法37条1項は、
プログラム規定的に解釈されることが一般的でしたが、
最高裁は、単なるプログラム規定ではないことを明示した上で、
一定の場合には、裁判の遅延対処すべき
具体的規定がなくとも審理を打ち切る、
という非常救済手段がとられるべきであると判示し、
免訴判決がなされるべきであるとしました。
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