法律の形式的効力の原理をわかりやすく解説します。
法令は、憲法を頂点に
下位に法律、命令、処分という順序で
段階構造化していて、各種の法令の間には
上位の法律が下位の法律に優先するという
形式的効力が働くことになります。
2つ以上の種類の法令が、
内容において相互に矛盾抵触し
両立しえないような場合、
その内容のいかんにかかわらず、
常に上位の法形式が下位の法形式を排除して
優先的に適用されることになります。
2つ以上の種類の法形式の所管事項が
まったく競合しない場合は、
両者の間で規定の内容が相互に矛盾抵触することはないので、
両者の形式的効力の優劣ということはありません。
つまり、形式的効力の優劣が問題になるのは、
2つ以上の種類の法形式の間に
所管事項の競合がある場合だけということになります。
法律の形式的効力は、最上位に憲法があり、
その下に法律、その下に内閣府令・政令、
があります。
外局またはこれに準ずるものの規則は、
府令、省令よりもさらに下ということになります。
(ただし、府省令とこれらの規則は、
所管事項を異にするため、矛盾抵触する場面は
少ないといえます。なお、内閣府令、省令相互間、
外局等の規則相互間については、その形式的効力は
同等で優劣の差はありません。)
委任命令は、本来、法律をもって定めるべき事項を
政令、府省令なりに委任した場合、
委任の根拠となっている法律と同等の効力を
持っているものと考えられます。
委任命令として規定される事項は、
多くの場合、法律が大綱を規定し、
残りの細かい部分、実施手続きなので、
法律と矛盾抵触する問題は通常生じませんが、
もし、法律がその法律の他の規定または
他の特定の法律の規定を排除し、
特定の場合、特定の事項についてこれに代わるべき
例外規定を定めることを命令に委任したような場合は、
その委任命令の規定は、その委任の効果として、
本来、上位にある法律の規定の適用を特定の場合に
排除しうることになると解するべきとされます。
ですから、この限りにおいて、
法律と委任命令は同等の形式的効力を有し、
その間の矛盾抵触は、形式的効力の原理ではなく、
後法優越または特別法優先の原理で
解決すべきということになります。
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