刑法の成文法主義、法律主義を
わかりやすく解説します。
刑法の成文法主義
刑法は「法律なければ犯罪なし」
という成文法がなければ犯罪とすることも、
刑罰に処することもできないという
罪刑法定主義をとりますが、これを成文法主義といいます。
民法の場合は、古くから社会通念、一般常識、
慣習を法源とすることを認めてきました。
裁判所は民事紛争の解決にあたり、
基準となる法律がないからといって、
裁判を拒絶することが許されず、
慣習や社会通念、一般常識の条理を法源とした
裁判を行うことができます。
これに対して、刑法はこれを禁止しています。
国家が国民に対して国家刑罰権を実現するには、
成文法による刑罰法規が行為よりも以前に存在する
ことが必要となります。
ただし、処罰を縮小、阻却する場合は、必ずしも
明文の規定がなくてもすることができると解されています。
狭義の法律主義
刑罰法規は狭義の法律によってしか規定できないという原則が
「狭義の法律主義」です。
「狭義の法律」の法律は、
国会が制定したものに限定するという意味で、
法律よりも下位の法規である行政府の命令(政令・省令・規制等)や
最高裁判所規則などにおいては、
原則として刑罰法規を規定できないというものです。
この狭義の法律主義の例外が、
「法律の委任」による場合です。
憲法では、政令による刑罰法規については、
特に法律の委任によることが必要で、
一般的・包括的委任は許されず、
具体的処罰の範囲が特定されている
特定委任でなければならないとしています。
条例で罰則を設ける場合については、
地方自治法14条3項に
「普通地方公共団体は、
法令に特別の定めがあるものを除くほか、
その条例中に、条例に違反した者に対し、
二年以下の懲役若しくは禁錮、
百万円以下の罰金、拘留、科料若しくは
没収の刑又は五万円以下の過料を
科する旨の規定を設けることができる。」
という規定があります。
この規定は、包括的な罰則の委任をしており、
この規定が許容されるかという疑問もありますが、
裁判所は一貫して合憲の判断を示しています。
裁判所は、理由としては、条例が地方議会において、
住民の代表により制定されたものであるから、
罪刑法定主義の要請である刑罰法規の
民主的コントロールという点で
問題は少ないということをあげています。
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