法人(企業)の不法行為について
わかりやすく解説します。
法人の代表者の不法行為の責任は、
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(一般法人法)に
規定されています。
「代表者」とは
「代表者」とは、株式会社の代表取締役や、
一般社団法人や一般財団法人の代表理事が典型的な例ですが、
このような役職や肩書きでなくても、
代表権持っている者も該当します。
代表者の責任の免除(免責)について
民法715条には、使用者責任について規定があり、
そちらには、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について
相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても
損害が生ずべきであったときは、
責任が免除されるとされていますが、
一般法人法にはそのような免責規定はありません。
(とはいえ、事実上715条の免責が認められることは
ほとんどないので、実務上、
この有無がさほど影響があるというわけではありませんが…。)
「職務を行うについて」とは
一般法人法の78条は、
一般社団法人は、代表理事その他の代表者が
その職務を行うについて
第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
と規定していますが、
「職務を行うについて」とは、
「違法な行為がどれくらい職務と関連性があるのか?」
ということがポイントとなります。
職務と完全に無関係であれば、
法人が責任を問われることはないわけですが、
行為者が職務で行うつもりもなく、
実際職務ではない行為であっても、
行為の外形が職務の範囲であると判断される場合には、
法人は責任を負うことになります。
(「外形理論」といい、民法715条の「事業の執行について」も
同様の解釈となります。)
代表者自身も責任を問われるか?
一般法人法の規定により、法人が不法行為責任を負う場合に
代表者個人も責任を問われるか?というところですが、
代表者個人的にも責任を認めた判例があり、
代表者個人も責任を問われると解されています。
役員等の第三者に対する責任
株式会社の取締役や一般社団法人の理事などの役員等は、
その職務を行うについて悪意または重大な過失があったときは、
これによって第三者に生じた損害を
賠償する責任を負います。
「企業責任」とは
企業の不法行為責任を問う場合に、
特定の被用者の不法行為と過失を見つけて立証をするのは
被害者側にとっては難しいところです。
そこで、加害者を特定せずとも企業全体を加害者とし、
企業全体としての注意義務違反、
不法行為責任を問うという
考え方が「企業責任」で、
公害や製造物責任についての判決では、
この考え方が採用されたものが多くあります。
(なお、製造物責任については、
民法709条が排除されるわけではありませんが、
現在は製造物責任法が適用されます。
詳しくはこちらをご参照ください↓
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