リラックス法学部 >供託法をわかりやすく解説 >執行供託 権利供託 義務供託についてわかりやすく解説
執行供託
供託には弁済供託、保証供託、執行供託、
没取供託、保管供託
の5つの種類がありますが、
今回は執行供託の権利供託と義務供託について
説明していきます。
第三債務者の供託
第三債務者が供託をするというパターンですが、
「供託できるという場合」(権利供託)と、
「供託しなければならないという場合」(義務供託)
があります。
権利供託
民事執行法
(第三債務者の供託)
第百五十六条 第三債務者は、
差押えに係る金銭債権(差押命令により差し押さえられた金銭債権に限る。次項において同じ。)の
全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託することができる。
例えば
A→B…100万円の債権
甲→A…40万円の債権
という時に甲がA→Bの100万円の債権を差し押さえたとします。
(100万円のうち40万円の部分が差押えられた)
この時Bは、供託する事ができます。(供託しなくてもよい)
Bが供託できる額は40万円か、
100万円のどちらかという事になります。
40万円を供託して、
残りの60万円をAに供託してもよいし、
100万円全額を供託して、
債務を消滅させることもできます。
条文にある通り、
この時は債務の履行地に供託することができます。
このように、供託することができる
(しなくてもよい)というパターンの
執行供託を権利供託といいます。
義務供託
民事執行法第百五十六条
2 第三債務者は、次条第一項に規定する訴えの訴状の送達を受ける時までに、
差押えに係る金銭債権のうち差し押さえられていない部分を超えて発せられた
差押命令、差押処分又は仮差押命令の送達を受けたときは
その債権の全額に相当する金銭を、
配当要求があつた旨を記載した文書の送達を受けたときは
差し押さえられた部分に相当する
金銭を債務の履行地の供託所に供託しなければならない。
続いては供託をしなければならない場合です。
A→B…100万円の債権
甲→A…40万円の債権
乙→A…70万円の債権
という時に甲がA→Bの100万円の債権を
差し押さえたとします。
(100万円のうち40万円の部分が差押えられた)
次に乙もA→Bの100万円の債権を
差し押さえたとします。
この時、甲→Aの40万円と乙→Aの70万円の債権
あわせて110万円で、
A→Bの100万円を超えてしまいました。
この場合、Bは100万円全額を
供託しなければならないことになります。
このように供託しなければならない執行供託を、
義務供託といいます。
これは裁判所が配当手続を行うためです。
いったん供託で預かってから配当するということになります。
事情届
民事執行法第百五十六条
3 第三債務者は、前二項の規定による供託をしたときは、
その事情を執行裁判所に届け出なければならない。
「前二項の規定による供託」とは、
権利供託、義務供託のことです。
つまり今回説明した、
権利供託、義務供託いずれの場合も、
供託した際は、その事情を執行裁判所に届けることが必要です。
これを「事情届」といいます。
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