内閣の行政権と独立行政委員会
(昭和27年9月6日福井地裁)
独立行政委員会である人事院が、内閣に行政権を帰属させる憲法65条、
行政権に関する内閣の責任を定める66条3項に反するのではないか、
という主張に裁判所が見解を示しました。
裁判所の見解
憲法65条の趣旨は、憲法の基本原則に反せず、
且つ国家目的上必要のある場合には、
例外的に内閣以外の国家機関に行政権の一部を
行わせることを禁ずるものではない。
国家公務員法は、議院内閣制の下において政党の影響が
国家公務員におよび、これをして国民の全体でなく
その一部の奉仕者たらしめることがないようにするために、
特別の国家機関を設けてこれに国家公務員に関する
ある種の行政を行わしめることとしたものとみなされる。
右措置は必ずしも憲法の右規定に違反するとはいい得ない。
憲法66条3項により、
内閣が国会に対して連帯責任を負うのは、
内閣の職権に属する一切の行為についてであり、
憲法73条4号の「官吏に関する事務」
とは官吏を任命する権限をいう。
その他の官吏に関する事務を人事院に管掌させ、これについて
内閣が国会に対して連帯責任を負わないものとしても、
憲法66条に反しない。
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