東芝柳町工場事件(有期労働契約の雇止め)
(昭和49年7月22日最高裁)
事件番号 昭和45(オ)1175
Xらは、電気機器の製造販売を目的とするY社に、
契約期間を2か月で臨時従業員としての基幹臨時工として
雇い入れられました。
Xらは採用の際に、Y社から、
「期間が満了しても。真面目に働いていれば、
解雇されるようなことはない」
と言われ、また、本工への登用を期待させるような言動があり、
Xらは、継続雇用の期待をもって、
本工に登用されることを強く希望し、
契約書を交わしていました。
Xらは、当該契約が5回ないし23回にわたって更新された後、
Y社はXらに対して、勤務態度の不良や、業務量の減少を理由に、
契約の更新の拒絶(雇止め)の意思表示をしました。
これに対して、Xらは労働契約関係の存在確認などを求めて、
訴えを提起し、一審、原審ともに本件雇止めは無効であるとし、
Y社が上告をしました。
最高裁判所の見解
本件各労働契約においては、
上告会社としても景気変動等の原因による
労働力の過剰状態を生じないかぎり契約が
継続することを予定していたものであって、
実質において、当事者双方とも、
期間は一応2か月と定められてはいるが、
いずれかから格別の意思表示がなければ当然更新されるべき
労働契約を締結する意思であったものと解するのが相当である。
したがって、本件各労働契約は、期間の満了毎に
当然更新を重ねてあたかも期間の定めのない契約と
実質的に異ならない状態で
存在していたものといわなければならず、
本件各傭止めの意思表示は右のような
契約を終了させる趣旨のもとにされたのであるから、
実質において解雇の意思表示にあたる。
原判決の本件各傭止めの効力の判断にあたっては、
その実質にかんがみ、
解雇に関する法理を類推すべきであると
するものであることが明らかであって、
上記の事実関係のもとにおけるその認定判断は、
正当として首肯することができる。
本件労働契約においては、
単に期間が満了したという理由だけでは
上告会社において傭止めを行わず、
被上告人らもまたこれを期待、信頼し、
このような相互関係のもとに
労働契約関係が存続、維持されてきたものというべきである。
そして、このような場合には、
経済事情の変動により剰員を生じる等上告会社において
従来の取扱いを変更して右条項を発動しても
やむをえないと認められる特段の事情の存しないかぎり、
期間満了を理由として傭止めをすることは、
信義則上からも許されないものといわなければならない。
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