フジ興産事件(就業規則の周知)

(平成15年10月10日最高裁)

事件番号  平成13(受)1709

 

Y社は、Y社のエンジニアリングセンターにおいて

設計業務に従事するXを、就業規則に基づき懲戒解雇しました。

 

Xは、本件懲戒解雇以前に、Y社の取締役Aに対し、

センターに勤務する労働者に適用される就業規則について質問した際には、

エンジニアリングセンターに就業規則が備え付けられていませんでした。

 

Xは、本件懲戒解雇は違法であるとし、違法な懲戒解雇に関与した取締役らに

損害賠償を請求する訴えを提起しました。

 

一審、原審は、Xの請求を棄却し、Xが上告しました。

 

最高裁判所の見解

使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において

懲戒の種別及び事由を定めておくことを要する。

 

そして、就業規則が法的規範としての性質を有するものとして、

拘束力を生ずるためには、その内容を適用を受ける事業場の

労働者に周知させる手続が採られていることを

要するものというべきである。

 

原審は、Y社が、労働者代表の同意を得て旧就業規則を制定し、

これを大阪西労働基準監督署長に届け出た事実を確定したのみで、

その内容をセンター勤務の労働者に周知させる

手続が採られていることを認定しないまま、

旧就業規則に法的規範としての効力を肯定し、

本件懲戒解雇が有効であると判断している。

 

原審のこの判断には、

審理不尽の結果、法令の適用を誤った違法があり、

その違法が判決に影響を及ぼすことは明らかである。

 

そこで、原判決を破棄し、上記の点等について

更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すこととする。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

 

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