横浜南労基署長事件(東京海上横浜支店事件)
(平成12年7月17日最高裁)
事件番号 平成7(行ツ)156
Xは、運転手の業務に従事し、
時間外労働時間は一か月平均約150時間で、
走行距離一か月平均3,500㎞で、特に時間外労働が多い時期は、
1日の平均時間外労働時間が7時間を超えるなど、
激務におわれる中、くも膜下出血が発症し、
Y労基署長に対して休業補償の請求をしましたが、
不支給処分とされました。
Xは、この処分の取消しを求めて、訴えを提起しました。
一審はXの請求を認容し、原審はXの請求を棄却し、
Xが上告しました。
最高裁判所の見解
Xの基礎疾患の内容、程度、Xが本件くも膜下出血発症前に
従事していた業務の内容、態様、遂行状況等に加えて、
脳動脈りゅうの血管病変は慢性の高血圧症、動脈硬化により
増悪するものと考えられており、慢性の疲労や過度のストレスの持続が
慢性の高血圧症、動脈硬化の原因の一つとなり得るもので
あることを併せ考えれば、Xの右基礎疾患が右発症当時
その自然の経過によって一過性の血圧上昇があれば
直ちに破裂を来す程度にまで
増悪していたとみることは困難というべきであり、
他に確たる増悪要因を見いだせない本件においては、
Xが右発症前に従事した業務による過重な
精神的、身体的負荷がXの右基礎疾患を
その自然の経過を超えて増悪させ、
右発症に至ったものとみるのが相当であって、
その間に相当因果関係の存在を肯定することができる。
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