紅屋商事事件(継続する不当労働行為)
(平成3年6月4日最高裁)
事件番号 平成1(行ツ)36
Y社では、従業員の基本給額の一部を
考課査定に基いて決定していましたが、
A労働組合の組合員の賃金が、非組合員と比べて、
低い昇給昇格査定を受けているとして、
A組合は、B労働委員会に救済申立てを行い、
この申立てが認められて、Bは救済命令を発し、
Y社はその取消しを求めて、訴えを提起しました。
Y社は、本件救済命令の対象となっている賃金は、
除斥期間1年間が経過しているので、訴えは不適法であると主張しました。
最高裁判所の見解
Y社が毎年行っている昇給に関する考課査定は、
その従業員の向後一年間における毎月の賃金額の基準となる
評定値を定めるものであるところ、
右のような考課査定において使用者が労働組合の組合員について
組合員であることを理由として他の従業員より低く査定した場合、
その賃金上の差別的取扱いの意図は、
賃金の支払によって具体的に実現されるのであって、
右査定とこれに基づく毎月の賃金の支払とは一体として
一個の不当労働行為をなすものとみるべきである。
そうすると、右査定に基づく賃金が支払われている限り
不当労働行為は継続することになるから、
右査定に基づく賃金上の差別的取扱いの是正を求める救済の申立てが
右査定に基づく賃金の最後の支払の時から1年以内にされたときは、
右救済の申立ては、労働組合法27条2項の定める
期間内にされたものとして適法というべきである。
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