スワット事件(共謀共同正犯)
(平成15年5月1日最高裁)
事件番号 平成14(あ)164
この裁判では、暴力団組長である
被告人が自己のボディガードらの
けん銃等の所持につき直接指示を下さなくても
共謀共同正犯の罪責を負うかについて
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
被告人は,Cらに対してけん銃等を携行して警護するように
直接指示を下さなくても,Cらが自発的に被告人を警護するために
本件けん銃等を所持していることを確定的に認識しながら,
それを当然のこととして受け入れて認容していたものであり,
そのことをCらも承知していたことは,前記で述べたとおりである。
なお,弁護人らが主張するように,被告人が幹部組員に対して
けん銃を持つなという指示をしていた事実が仮にあったとしても,
前記認定事実に徴すれば,それは自らがけん銃等の
不法所持の罪に問われることのないように,
自分が乗っている車の中など至近距離の範囲内で持つことを
禁じていたにすぎないものとしか認められない。
また,前記の事実関係によれば,
被告人とCらとの間にけん銃等の所持につき
黙示的に意思の連絡があったといえる。
そして,Cらは被告人の警護のために
本件けん銃等を所持しながら
終始被告人の近辺にいて被告人と行動を共にしていたものであり,
彼らを指揮命令する権限を有する被告人の地位と彼らによって
警護を受けるという被告人の立場を併せ考えれば,
実質的には,正に被告人がCらに本件けん銃等を
所持させていたと評し得るのである。
したがって,被告人には本件けん銃等の所持について,
G,E,M及びHらC5名等との間に
共謀共同正犯が成立するとした
第1審判決を維持した原判決の判断は,正当である。
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