放火犯の噂を広めた名誉毀損
(昭和34年5月7日最高裁)
事件番号 昭和33(あ)2698
この裁判では、Xが、確証もないのに、YがXの庭先で放火したものと思い込み、
周囲の人間に「Yの放火を見た」、
「火が燃えていたのでYを捕えることはできなかった」旨述べ、
その結果、Yが放火したという噂が村中に相当広まった件で、
名誉毀損罪が成立するかについて裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
原判決は第一審判決の認定を維持し、
被告人は不定多数の人の視聴に達せしめ得る状態において
事実を摘示したものであり、その摘示が質問に対する
答としてなされたものであるかどうかというようなことは、
犯罪の成否に影響がないとしているのである。
そして、このような事実認定の下においては、
被告人は刑法230条1項にいう公然事実を摘示したものということができる。
本件記録およびすべての証拠によっても、
Yが本件火災の放火犯人であると確認することはできないから、
被告人についてはその陳述する事実につき真実であることの
証明がなされなかったものというべく、
被告人は本件につき刑責を免れることができないのであって、
これと同趣旨に出でた原判断は相当である。
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