権利行使と恐喝罪
(昭和30年10月14日最高裁)
事件番号 昭和27(あ)6596
この裁判では、債権取立のために執った手段が、
権利行使の方法として社会通念上一般に許容すべきものと認められる程度を
逸脱した恐喝手段である場合の恐喝罪について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
他人に対して権利を有する者が、その権利を実行することは、
その権利の範囲内であり且つその方法が社会通念上一般に
忍溶すべきものと認められる程度を超えない限り、
何等違法の問題を生じないけれども、
右の範囲程度を逸脱するときは違法となり、
恐喝罪の成立することがあるものと解するを相当とする。
本件において、被告人等が所論債権取立のために執った手段は、
原判決の確定するところによれば、若し債務者Dにおいて
被告人等の要求に応じないときは、
同人の身体に危害を加えるような態度を示し、
且同人に対し被告人A及び同B等は
「俺達の顔を立てろ」等と申向け
Dをして若しその要求に応じない時は自己の身体に
危害を加えられるかも知れないと畏怖せしめたというのであるから、
もとより、権利行使の手段として社会通念上、
一般に忍容すべきものと認められる程度を逸脱した手段であることは論なく、
従って、原判決が右の手段によりDをして金6万円を交付せしめた
被告人等の行為に対し、被告人CのDに対する債権額のいかんにかかわらず、
右金6万円の全額について恐喝罪の成立をみとめたのは正当であって、
所論を採用することはできない。
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