知事の許可を得ることを条件として農地の売買契約

( 昭和36年5月26日最高裁)

事件番号  昭和32(オ)923

 

この裁判では、

知事の許可を得ることを条件とした農地の売買契約について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

原判決が、農地の所有権移転を目的とする法律行為は

都道府県知事の許可を受けない以上

法律上の効力を生じないものであり(農地法3条4項)、

この場合知事の許可は右法律行為の効力発生要件であるから、

農地の売買契約を締結した当事者が

知事の許可を得ることを条件としたとしても、

それは法律上当然必要なことを約定したに止まり、

売買契約にいわゆる停止条件を附したものということはできない

としたことは正当である。

 

そして、かりにいわゆる法定条件にも性質のゆるすかぎり

民法の条件に関する規定の類推適用あるものとしても、

原判決が、上告人と被上告人Bとの間の本件農地売買契約について、

たとえ、被上告人Bに所論のような条件の成就を

妨げる行為があったとしても、

民法130条の規定の適用によって、

右売買契約が効力を生じて上告人が

本件農地の所有者となったものとすることはできない、

従って上告人が既に右農地の所有者となったことを前提とする

上告人の本訴請求は理由がない旨判示したことは正当である。

 

何となれば、農地の売買は、公益上の必要にもとづいて、

知事の許可を必要とせられているのであって、

現実に知事の許可がない以上、

農地所有権移転の効力は生じないものであることは

農地法3条の規定するところにより明らかであり、

民法130条の規定するような当事者の「看做す」というがごとき

当事者の意思表示に付する擬制的効果によって、

右農地所有権移転の効力を左右することは

性質上許されないところであるからである。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

行政判例コーナー

行政法の解説コーナー


行政書士試験にわずか147日で合格した勉強法

行政書士受験生にオススメのAmazon Kindle Unlimitedで読める本


スポンサードリンク

関連記事