知事の聴取した温泉審議会の意見が持廻り決議の方法によった場合における知事の動力装置許可処分の効力
(昭和46年1月22日最高裁)
事件番号 昭和39(行ツ)20
この裁判では、
知事が温泉法8条1項による動力装置許可処分をするにあたり
同法20条により聴取した温泉審議会の意見につき、
持廻り決議の方法によった瑕疵があった場合に、
処分の無効原因となるかについて裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
原判決の確定したところによれば、本件許可処分にあたり、
温泉審議会は開かれず、知事による温泉審議会の意見聴取は
持廻り決議の方法によりされたものであるというのであり、また、
温泉法19条、島根県温泉審議会条例
(昭和25年同県条例第31号)6条等の規定に徴すれば、
右審議会の意見は適法有効なものということはできず、
右処分後に開かれた審議会の意見によっても、
右の瑕疵が補正されないことは、
原判決の判示判断のとおりである。
ところで、温泉法20条によれば、
知事が同法8条1項等所定の規定による処分をしようとするときは
温泉審議会の意見を聞かなければならないこととされていることは、
所論のとおりであるが、同法19条は、都道府県知事の諮問に応じ、
温泉およびこれに関する行政に関し調査、審議させるため、
都道府県に温泉審議会を置く、右審議会の組織、所掌事務、
委員その他の職員については
都道府県の条例で定める旨規定しており、
その他、同法の目的を定める1条、
許可不許可の基準を定める4条等の規定に徴すれば、
前記20条が知事に対し温泉審議会の意見を
聞かなければならないこととしたのは、
知事の処分の内容を適正ならしめるためであり、
利害関係人の利益の保護を直接の目的としたものではなく、また、
知事は右の意見に拘束されるものではないと解せられる。
そして、これらの諸点を併せ考えれば、本件許可処分にあたり、
知事のした温泉審議会の意見聴取は前記のようなものではあるが、
その瑕疵は、取消の原因としてはともかく、
本件許可処分を無効ならしめるものということはできない。
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