人身保護法による子の引渡請求と拘束の違法性
(平成6年4月26日最高裁)
事件番号 平成6(オ)65
この裁判では、
人身保護法による子の引渡請求と拘束の違法性について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
夫婦の一方(請求者)が他方(拘束者)に対し、
人身保護法に基づき、共同親権に服する
幼児の引渡しを請求した場合において、
拘束者による幼児に対する監護・拘束が
権限なしにされていることが顕著である(人身保護規則4条)
ということができるためには、
右幼児が拘束者の監護の下に置かれるよりも、
請求者の監護の下に置かれることが
子の幸福に適することが明白であること、
いいかえれば、拘束者が幼児を監護することが、
請求者による監護に比して子の幸福に反することが
明白であることを要すると解される。
そして、請求者であると拘束者であるとを問わず、
夫婦のいずれか一方による幼児に対する監護は、
親権に基づくものとして、特段の事情のない限り
適法であることを考えると、右の要件を満たす場合としては、
拘束者に対し、家事審判規則52条の2又は53条に基づく
幼児引渡しを命ずる仮処分又は審判が出され、
その親権行使が実質上制限されているのに拘束者が
右仮処分等に従わない場合がこれに当たると考えられるが、
更には、また、幼児にとって、請求者の監護の下では
安定した生活を送ることができるのに、
拘束者の監護の下においては
著しくその健康が損なわれたり、
満足な義務教育を受けることができないなど、
拘束者の幼児に対する処遇が親権行使という観点からみても
これを容認することができないような例外的な場合が
これに当たるというべきである。
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