危急時遺言の遺言書における日附と遺言の効力

(昭和47年3月17日最高裁)

事件番号  昭和46(オ)678

 

この裁判では、

危急時遺言の遺言書における日附と遺言の効力について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

民法976条所定の危急時遺言が、

疾病その他の事由によって

死亡の危急に迫つた者が遺言をしようとするときに認められた

特別の方式であること、

右遺言にあたって立会証人のする署名捺印は、

遺言者により口授された遺言の趣旨の筆記が正確であることを

各証人において証明するためのものであって、

同条の遺言は右の署名捺印をもつて完成するものであること、

右遺言は家庭裁判所の確認を得ることをその有効要件とするが、

その期間は遺言の日から20日以内に

制限されていることなどにかんがみれば、

右の署名捺印は、遺言者の口授に従つて筆記された遺言の内容を

遺言者および他の証人に読み聞かせたのち、

その場でなされるのが本来の趣旨とは解すべきであるが、

本件のように、筆記者である証人が、筆記内容を清書した書面に

遺言者Dの現在しない場所で署名捺印をし、

他の証人二名の署名を得たうえ、右証人らの立会いのもとに

遺言者に読み聞かせ、その後、遺言者の現在しない場所

すなわち遺言執行者に指定された者の法律事務所で、

右証人二名が捺印し、もって署名捺印を完成した場合であっても、

その署名捺印が筆記内容に

変改を加えた疑いを挾む余地のない事情のもとに

遺言書作成の一連の過程に従って

遅滞なくなされたものと認められるときは、

いまだ署名捺印によって筆記の正確性を担保しようとする同条の趣旨を

害するものとはいえないから、

その署名捺印は同条の方式に則ったものとして

遺言の効力を認めるに妨げないと解すべきである。

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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