受遺者の選定を遺言執行者に委託する旨の遺言
(平成5年1月19日最高裁)
事件番号 昭和63(オ)192
この裁判では、
受遺者の選定を遺言執行者に委託する旨の遺言について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
遺言の解釈に当たっては、
遺言書に表明されている遺言者の意思を尊重して
合理的にその趣旨を解釈すべきであるが、
可能な限りこれを有効となるように解釈することが
右意思に沿うゆえんであり、
そのためには、遺言書の文言を前提にしながらも、
遺言者が遺言書作成に至った経緯及び
その置かれた状況等を考慮することも許されるものというべきである。
このような見地から考えると、
本件遺言書の文言全体の趣旨及び同遺言書作成時の
Dの置かれた状況からすると、同人としては、
自らの遺産を上告人ら法定相続人に取得させず、
これをすべて公益目的のために役立てたいという意思を
有していたことが明らかである。
そして、本件遺言書において、あえて遺産を
「公共に寄與する」として、
遺産の帰属すべき主体を明示することなく、
遺産が公共のために利用されるべき旨の文言を用いていることからすると、
本件遺言は、右目的を達成することのできる団体等
(原判決の挙げる国・地方公共団体をその典型とし、
民法三四条に基づく公益法人あるいは特別法に基づく
学校法人、社会福祉法人等をも含む。)に
その遺産の全部を包括遺贈する趣旨であると解するのが相当である。
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