都市計画事業の認可の取消訴訟と事業地の周辺住民の原告適格
(平成17年12月7日最高裁)
事件番号 平成16(行ヒ)114
この裁判では、
都市計画事業の認可の取消訴訟と
事業地の周辺住民の原告適格について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
公害対策基本法等の規定の趣旨及び目的をも参酌し,
併せて,都市計画法66条が,認可の告示があったときは,
施行者が,事業の概要について事業地及び
その付近地の住民に説明し,
意見を聴取する等の措置を講ずることにより,
事業の施行についてこれらの者の協力が得られるように
努めなければならないと規定していることも考慮すれば,
都市計画事業の認可に関する同法の規定は,
事業に伴う騒音,振動等によって,
事業地の周辺地域に居住する住民に健康又は
生活環境の被害が発生することを防止し,
もって健康で文化的な都市生活を確保し,
良好な生活環境を保全することも,
その趣旨及び目的とするものと解される。
都市計画法又はその関係法令に違反した
違法な都市計画の決定又は変更を基礎として
都市計画事業の認可がされた場合に,
そのような事業に起因する騒音,振動等による
被害を直接的に受けるのは,事業地の周辺の
一定範囲の地域に居住する住民に限られ,
その被害の程度は,居住地が事業地に接近するにつれて
増大するものと考えられる。
また,このような事業に係る事業地の周辺地域に居住する
住民が,当該地域に居住し続けることにより
上記の被害を反復,継続して受けた場合,
その被害は,これらの住民の健康や生活環境に係る
著しい被害にも至りかねないものである。
都市計画事業の認可に関する都市計画法の規定の趣旨及び
目的,これらの規定が都市計画事業の認可の制度を通して
保護しようとしている利益の内容及び性質等を考慮すれば,
同法は,これらの規定を通じて,
都市の健全な発展と秩序ある整備を図るなどの公益的見地から
都市計画施設の整備に関する事業を規制するとともに,
騒音,振動等によって健康又は生活環境に係る
著しい被害を直接的に受けるおそれのある
個々の住民に対して,そのような被害を受けないという
利益を個々人の個別的利益としても
保護すべきものとする趣旨を含むと解するのが相当である。
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