既存の公衆浴場営業者の第三者に対する公衆浴場営業許可処分の無効確認を求める訴の利益の有無

(昭和37年1月19日最高裁)

事件番号  昭和33(オ)710

 

この裁判では、

既存の公衆浴場営業者の第三者に対する

公衆浴場営業許可処分の無効確認を求める

訴の利益の有無について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

公衆浴場法は、公衆浴場の経営につき許可制を採用し、

第2条において、「設置の場所が配置の適正を欠く」と

認められるときは許可を拒み得る旨を定めているが、

その立法趣旨は、

「公衆浴場は、多数の国民の日常生活に必要欠くべからざる、

多分に公共性を伴う厚生施設である。

そして、若しその設立を業者の自由に委せて、

何等その偏在及び濫立を防止する等

その配置の適正を保つために必要な措置が講ぜられないときは、

その偏在により、多数の国民が日常容易に

公衆浴場を利用しようとする場合に

不便を来たすおそれを保し難く、

また、その濫立により、浴場経営に

無用の競争を生じその経営を経済的に不合理ならしめ、

ひいて浴場の衛生設備の低下等好ましからざる影響を来たす

おそれなきを保し難い。このようなことは、

上記公衆浴場の性質に鑑み、国民保健及び環境衛生の上から、

出来る限り防止することが望ましいことであり、

従って、公衆浴場の設置場所が配置の適正を欠き、

その偏在乃至濫立を来たすに至るがごときことは、

公共の福祉に反するものであって、

この理由により公衆浴場の経営の許可を

与えないことができる旨の規定を設け」

たのであることは当裁判所大法廷判決の判示するところである。

 

そして、同条はその第3項において

右設置場所の配置の基準については

都道府県条例の定めるところに委任し、

京都府公衆浴場法施行条例は各公衆浴場との最短距離は

250米間隔とする旨を規定している。

 

これら規定の趣旨から考えると公衆浴場法が

許可制を採用し前述のような規定を設けたのは、

主として「国民保健及び環境衛生」という

公共の福祉の見地から出たものであることはむろんであるが、

他面、同時に、無用の競争により経営が

不合理化することのないように濫立を防止することが

公共の福祉のため必要であるとの見地から、

被許可者を濫立による経営の不合理化から

守ろうとする意図をも有するものであることは

否定し得ないところであって、

適正な許可制度の運用によって保護せらるべき業者の営業上の利益は、

単なる事実上の反射的利益というにとどまらず

公衆浴場法によって保護せられる法的利益と解するを相当とする

 

 

全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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