工事が完了した場合における建築確認の取消を求める訴えの利益の有無
(昭和59年10月26日最高裁)
事件番号 昭和58(行ツ)35
この裁判では、
工事が完了した場合における
建築確認の取消を求める訴えの利益の有無について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
建築確認は、建築基準法6条1項の
建築物の建築等の工事が着手される前に、
当該建築物の計画が建築関係規定に適合していることを
公権的に判断する行為であって、それを受けなければ
右工事をすることができないという法的効果が付与されており、
建築関係規定に違反する建築物の出現を
未然に防止することを目的としたものということができる。
しかしながら、右工事が完了した後における建築主事等の検査は、
当該建築物及びその敷地が建築関係規定に
適合しているかどうかを基準とし、
同じく特定行政庁の違反是正命令は、
当該建築物及びその敷地が建築基準法並びに
これに基づく命令及び条例の規定に適合しているかどうかを基準とし、
いずれも当該建築物及びその敷地が建築確認に係る
計画どおりのものであるかどうかを基準とするものでない上、
違反是正命令を発するかどうかは、
特定行政庁の裁量にゆだねられているから、
建築確認の存在は、検査済証の交付を拒否し又は
違反是正命令を発する上において法的障害となるものではなく、また、
たとえ建築確認が違法であるとして判決で取り消されたとしても、
検査済証の交付を拒否し又は違反是正命令を
発すべき法的拘束力が生ずるものではない。
したがって、建築確認は、それを受けなければ
右工事をすることができないという
法的効果を付与されているにすぎないものというべきであるから、
当該工事が完了した場合においては、
建築確認の取消しを求める訴えの利益は
失われるものといわざるを得ない。
・行政書士受験生にオススメのAmazon Kindle Unlimitedで読める本
スポンサードリンク
関連記事