憲法第29条3項の「正当な補償」の支払時期
(昭和24年7月13日最高裁)
事件番号 昭和23(れ)829
この裁判では、
憲法第29条3項の「正当な補償」の支払時期について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
憲法は「正当な補償」と規定しているだけであって、
補償の時期についてはすこしも言明していないのであるから、
補償が財産の供与と交換的に同時に履行さるべきことについては、
憲法の保障するところではないと言わなければならない。
もっとも、補償が財産の供与より甚しく遅れた場合には、
遅延による損害をも填補する問題を生ずるであらうがだからといって、
憲法は補償の同時履行までをも
保障したものと解することはできない。
食糧管理法による、いわゆる供出米については、
政府から買入代金の支払として
正当な補償がなされることは公知の事実であり、
再上告人もまた、その受領を認めている。
たゞ本件の買入代金の支払は
供出後に行われたにすぎないのである。
それが憲法違反でないことは
前記の説明によって明らかであらう。
されば、政府が食糧管理法に基き個人の産米を買上げるには
供出と同時に代金を支払わなければ
憲法第39条に違反するとの論旨は理由がない、
そしてまた、食糧管理法違反の事実を判示するについて
補償の事実を判示する必要のないことは言うまでもないのであるから、
この点についても原判決は所論のように憲法に違反するものではない。
なお、論旨においては、原判決が民法の規定にも
違反することを主張しているが、かゝる主張は
憲法適否の問題ではないから、
再上告の適法な理由とはならない。
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