権利能力なき社団の成立要件

(昭和39年10月15日最高裁)

事件番号  昭和35(オ)1029

 

この裁判では、

権利能力なき社団の成立要件について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

法人格を有しない社団すなわち権利能力のない社団については、

民訴四六条がこれについて規定するほか

実定法上何ら明文がないけれども、

権利能力のない社団といいうるためには、

団体としての組織をそなえ、そこには多数決の原則が行なわれ、

構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し、

しかしてその組織によって代表の方法、総会の運営、

財産の管理その他団体としての主要な点が

確定しているものでなければならないのである。

 

しかして、このような権利能力のない社団の資産は

構成員に総有的に帰属する。そして権利能力のない社団は

「権利能力のない」社団でありながら、

その代表者によってその社団の名において

構成員全体のため権利を取得し、義務を負担するのであるが、

社団の名において行なわれるのは、一々すべての構成員の氏名を

列挙することの煩を避けるために外ならない

(従って登記の場合、権利者自体の名を登記することを要し、

権利能力なき社団においては、その実質的権利者たる

構成員全部の名を登記できない結果として、

その代表者名義をもって不動産登記簿に

登記するよりほかに方法がないのである。)。

 

原審が適法に確定した叙上の事実関係によれば、

いわゆる杉並支部は、支部という名称を有し、

その規約は前記本部の定款と全く同旨のものであったが、しかし、

それ自体の組織を有し、そこには多数決の原則が行なわれ

構成員の変更に拘らず存続をつづけ、前記の本部とは異なる

独立の存在を有する権利能力のない社団としての

実体をそなえていたものと認められるのである。

 

従って、訴外Eと右権利能力のない社団である

杉並支部の代表者との間で締結された本件土地賃貸借契約により、

いわゆる杉並支部の構成員全体は杉並支部の名の下に

本件土地の賃借権を取得したものというべく、

右と同趣旨の原判決は正当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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