材料を供して工事を施し独立の不動産である建物に仕上げた場合の建物所有権

(昭和54年1月25日最高裁)

事件番号  昭和53(オ)872

 

この裁判では、

建築途中の未だ独立の不動産に至らない建前に第三者が

材料を供して工事を施し独立の不動産である建物に仕上げた場合と

建物所有権の帰属について裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

建物の建築工事請負人が建築途上において

未だ独立の不動産に至らない建前を

築造したままの状態で放置していたのに、

第三者がこれに材料を供して工事を施し、

独立の不動産である建物に仕上げた場合においての

右建物の所有権が何びとに帰属するかは、

民法243条の規定によるのではなく、むしろ、

同法246条2項の規定に基づいて決定すべきものと解する。

 

けだし、このような場合には、動産に動産を

単純に附合させるだけでそこに施される

工作の価値を無視してもよい場合とは異なり、

右建物の建築のように、材料に対して施される工作が

特段の価値を有し、仕上げられた建物の価格が原材料の

それよりも相当程度増加するような場合には、

むしろ民法の加工の規定に基づいて所有権の帰属を

決定するのが相当であるからである。

 

同法246条2項の規定に基づき

所有権の帰属を決定するにあたっては、

前記G建設の工事によりDが建築した建前が

法律上独立の不動産である建物としての要件を

具備するにいたった時点における状態に基づいてではなく、

前記昭和40年11月19日までに仕上げられた状態に基づいて、

G建設が施した工事及び材料の価格とDが

建築した建前のそれとを比較してこれをすべきものと解されるところ、

右両者を比較すると前記のように前者が後者を遥かに超えるのであるから、

本件建物の所有権は、Dにではなく、

加工者であるG建設に帰属するものというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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