詐害行為取消訴訟手続において被告は自己の債権額に対応する按分額の支払を拒むことができるか
(昭和46年11月19日)
事件番号 昭和45(オ)498
この裁判では、
詐害行為取消訴訟手続において被告は
自己の債権額に対応する按分額の支払を
拒むことができるかについて
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
所論は、そのいわゆる配当要求は、
強制執行法上の配当要求ではなく、
受益の意思表示であるというのであるが、
実定法上、かかる意思表示の効力を認むべき根拠は存在しない。
本来、債権者取消権は、債務者の一般財産を保全するため、
とくに取消債権者において、債務者受益者間の
詐害行為を取り消したうえ、債務者の一般財産から逸出したものを、
総債権者のために、受益者または転得者から
取り戻すことができるものとした制度である。
もし、本件のような弁済行為についての詐害行為取消訴訟において、
受益者である被告が、自己の債務者に対する債権をもって、
上告人のいわゆる配当要求をなし、取消にかかる弁済額のうち、
右債権に対する按分額の支払を拒むことができるとするときは、
いちはやく自己の債権につき弁済を受けた受益者を保護し、
総債権者の利益を無視するに帰するわけであるから、
右制度の趣旨に反することになるものといわなければならない。
ところで、取消債権者が受益者または転得者に対し、
取消にかかる弁済額を自己に
引き渡すべきことを請求することを許すのは、
債務者から逸出した財産の取戻しを
実効あらしめるためにやむをえないことなのである。
その場合、ひとたび取消債権者に引き渡された金員が、
取消債権者のみならず他の債権者の債権の弁済にも
充てられるための手続をいかに定めるか等について、
立法上考慮の余地はあるとしても、そのことからただちに、
上告人のいわゆる配当要求の意思表示に、
所論のような効力を認めなければならない理由はないというべきである。
・行政書士受験生にオススメのAmazon Kindle Unlimitedで読める本
スポンサードリンク
関連記事