東大病院ルンバール事件(因果関係の立証)
(昭和50年10月24日最高裁)
事件番号 昭和48(オ)517
この裁判では、
訴訟上の因果関係の立証について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
訴訟上の因果関係の立証は、
一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、
経験則に照らして全証拠を総合検討し、
特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる
高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、
通常人が疑を差し挟まない程度に
真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、
それで足りるものである。
原審確定の事実、殊に、本件発作は、上告人の病状が一貫して
軽快しつつある段階において、本件ルンバール実施後15分ないし20分を経て
突然に発生したものであり、他方、
化膿性髄膜炎の再燃する蓋然性は
通常低いものとされており、当時これが再燃するような
特別の事情も認められなかつたこと、以上の事実関係を、
因果関係に関する前記一に説示した見地にたって総合検討すると、
他に特段の事情が認められないかぎり、
経験則上本件発作とその後の病変の原因は脳出血であり、
これが本件ルンバールに困つて発生したものというべく、結局、
上告人の本件発作及びその後の病変と
本件ルンバールとの間に因果関係を肯定するのが相当である。
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