示談当時予想しなかった後遺症等が発生した場合と示談の効力
(昭和43年3月15日最高裁)
事件番号 昭和40(オ)347
この裁判では、
示談当時予想しなかった後遺症等が
発生した場合と示談の効力について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
一般に、不法行為による損害賠償の示談において、
被害者が一定額の支払をうけることで満足し、
その余の賠償請求権を放棄したときは、被害者は、
示談当時にそれ以上の損害が存在したとしても、あるいは、
それ以上の損害が事後に生じたとしても、
示談額を上廻る損害については、
事後に請求しえない趣旨と解するのが相当である。
全損害を正確に把握し難い状況のもとにおいて、
早急に小額の賠償金をもって満足する旨の示談がされた場合においては、
示談によって被害者が放棄した損害賠償請求権は、
示談当時予想していた損害についてのもののみと解すべきであって、
その当時予想できなかった不測の再手術や
後遺症がその後発生した場合その損害についてまで、
賠償請求権を放棄した趣旨と解するのは、
当事者の合理的意思に合致するものとはいえない。
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