リラックス法学部 >憲法判例>憲法判例 TBSビデオテープ差押処分事件の概要と判例の趣旨をわかりやすく解説
TBSビデオテープ差押処分事件
(平成2年7月9日最高裁判決)
事件番号 平成2(し)74
TBSが放送したドキュメンタリー番組で
暴力団の債権取立ての様子が含まれ、
この番組を発端として
暴力団組員が逮捕・起訴されました。
この番組は暴力団の協力のもと、
潜入取材により収録されたものでした。
警視庁はこの事件のさらなる捜査の必要性から、
差押許可状により、債権取立て場面を収録した
未編集テープ29巻を証拠として押収しました。
これに対してTBSは、
報道目的以外のテープの利用は
取材先との信頼関係を損ない、
報道の自由及び取材の自由を
侵害するとして争いました。
裁判所は、本件差押えは
悪質な法律違反被疑事件の捜査のために行われ、
事件の真相を明らかにするうえで必要であったこと、
本件差押えで放映が不可能となり
TBSが不利益を受けるものではないこと、
取材協力者は放映を了承しているので、
TBSが協力者の身元の秘匿など
擁護しなければならない利益が
ほとんど存在しないことを指摘し、
犯罪者の協力による取材を
報道のための取材の自由として
保護しなければならない必要性は
乏しいという理由で、TBSは本件差押えを
受忍すべきであるとしました。
公正な刑事裁判を実現するために
必要不可欠な適正で迅速な捜査の遂行
という要請がある場合、
取材の自由はある程度の制限を
受けることを示しました。
犯罪の性質、内容、軽重及び証拠物の価値といった
公正な刑事裁判の適正・迅速な遂行の必要性と、
報道機関の報道の自由が妨げられる程度及び
将来の取材の自由が受ける影響その他、
諸般の事情を比較衡量すべきことであるとしました。
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