共同暴走行為と過失相殺
(平成20年7月4日最高裁)
事件番号 平成19(受)1386
この裁判では、
Aが運転しBが同乗する自動二輪車とパトカーとが衝突し
Bが死亡した交通事故につき,Bの相続人が
パトカーの運行供用者に対し損害賠償を請求する場合において,
過失相殺をするに当たり,Aの過失をBの過失として
考慮することができるかについて
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
前記事実関係によれば,AとBは,
本件事故当日の午後9時ころから本件自動二輪車を
交代で運転しながら共同して暴走行為を繰り返し,
午後11時35分ころ,本件国道上で
取締りに向かった本件パトカーから追跡され,
いったんこれを逃れた後,午後11時49分ころ,
Aが本件自動二輪車を運転して本件国道を走行中,
本件駐車場内の本件小型パトカーを見付け,
再度これから逃れるために制限速度を
大きく超過して走行するとともに,
一緒に暴走行為をしていた友人が捕まっていないか
本件小型パトカーの様子をうかがおうとしてわき見をしたため,
本件自動二輪車を停止させるために停車していた
本件パトカーの発見が遅れ,
本件事故が発生したというのである
(以下,本件小型パトカーを見付けてからの
Aの運転行為を「本件運転行為」という。)。
以上のような本件運転行為に至る経過や
本件運転行為の態様からすれば,本件運転行為は,
BとAが共同して行っていた暴走行為から独立した
Aの単独行為とみることはできず,
上記共同暴走行為の一環を成すものというべきである。
したがって,上告人との関係で
民法722条2項の過失相殺をするに当たっては,
公平の見地に照らし,本件運転行為におけるAの過失も
Bの過失として考慮することができると解すべきである。
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