記名被保険者の子が胎児であった時の事故と無保険車傷害条項による保険金請求
(平成18年3月28日最高裁)
事件番号 平成17(受)1751
この裁判では、
自家用自動車総合保険契約の記名被保険者の子が
胎児であった時に発生した交通事故により、
出生後に傷害を生じその結果後遺障害が残存した場合における
同契約の無保険車傷害条項に基づく保険金請求の可否について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
民法721条により,胎児は,損害賠償の請求権については,
既に生まれたものとみなされるから,
胎児である間に受けた不法行為によって出生後に傷害が生じ,
後遺障害が残存した場合には,それらによる損害については,
加害者に対して損害賠償請求をすることができると解される。
前記事実関係によれば,被上告人X2には,
胎児である間に発生した本件事故により,
出生後に本件傷害等が生じたのであるから,
被上告人らは,本件傷害等による損害について,
加害者に対して損害賠償請求をすることができるものと解される。
本件約款の定めによると,無保険車傷害条項に基づいて
支払われる保険金は,法律上損害賠償の請求権があるが,
相手自動車が無保険自動車であって,
十分な損害のてん補を受けることができないおそれがある場合に
支払われるものであって,賠償義務者に代わって
損害をてん補するという性格を有するものというべきであるから,
本件保険契約は,賠償義務者が賠償義務を負う損害は
すべて保険金によるてん補の対象となる
(ただし,免責事由があるときはてん補されない。)との
意思で締結されたものと解するのが相当である。
そして,被上告人X2は,本件保険契約の記名被保険者の子であり,
上記のとおり,被上告人らは,本件傷害等による損害について,
加害者に対して損害賠償請求をすることができるのであるから,
被上告人らは,本件傷害等による損害について,
記名被保険者の同居の親族に生じた傷害及び
後遺障害による損害に準ずるものとして,
本件約款の無保険車傷害条項に基づく保険金を請求できる
と解するのが相当である。
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