口頭弁論終結後の承継人
(昭和48年6月21日最高裁)
事件番号 昭和47(オ)198
この裁判では、
口頭弁論終結後の承継人について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
原審の確定したところによれば、本件土地はもと
訴外Dの所有名義に登記されていたが、
右登記は上告人Aと右訴外人との
通謀虚偽表示による無効のものであって、
本件土地は同上告人の所有に属していたのであり、
同上告人の破産管財人は同訴外人に対し
このことを理由として真正な名義回復のため
本件土地所有権移転登記手続請求訴訟を提起し、
同訴訟は名古屋地方裁判所岡崎支部
昭和42年(ワ)第2206号事件として係属し、
昭和43年4月17日口頭弁論終結のうえ、
同月26日右請求認容の判決がなされ、
同判決はその頃確定したものであるところ、被上告人は、
これらの事情を知らずに善意で、同訴外人に対する
不動産強制競売事件において、
前記訴訟の口頭弁論終結後である昭和43年6月27日、
本件土地を競落し、同年7月22日その旨の
所有権取得登記を経由したというのである。
以上の事実関係のもとにおいては、上告人Aは、
本件土地につきD名義でなされた前記所有権取得登記が、
通謀虚偽表示によるもので無効であることを、
善意の第三者である被上告人に
対抗することはできないものであるから、
被上告人は本件土地の所有権を取得するに
至ったものであるというべきである。
このことは上告人Aと訴外Dとの間の
前記確定判決の存在によって左右されない。
そして、被上告人は同訴外人の上告人Aに対する
本件土地所有権移転登記義務を承継するものではないから、
同上告人が、右確定判決につき、
同訴外人の承継人として被上告人に対する
承継執行文の付与を受けて執行することは
許されないといわなければならない。
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