約束による自白の証拠能力
(昭和41年7月1日最高裁)
事件番号 昭和40(あ)1968
この裁判では、
自白をすれば起訴猶予にする旨の検察官のことばを信じた被疑者が、
起訴猶予になることを期待してした自白の証拠能力について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
右福岡高等裁判所の判決は、所論の点について、
「検察官の不起訴処分に附する旨の約束に基く自白は
任意になされたものでない疑のある自白と解すべきで
これを任意になされたものと解することは到底是認し得ない。
従って、かかる自白を採つて以て罪証に供することは
採証則に違反するものといわなければならない。」
と判示しているのであるから、原判決は、
右福岡高等裁判所の判例と相反する判断をしたこととなり、
刑訴法405条3号後段に規定する、
最高裁判所の判例がない場合に控訴裁判所である
高等裁判所の判例と相反する判断を
したことに当るものといわなければならない。
そして、本件のように、被疑者が、
起訴不起訴の決定権をもつ検察官の、
自白をすれば起訴猶予にする旨のことばを信じ、
起訴猶予になることを期待してした自白は、
任意性に疑いがあるものとして、
証拠能力を欠くものと解するのが相当である。
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