審理の方法態度と裁判官忌避
(昭和48年10月8日最高裁)
事件番号 昭和48(し)66
この裁判では、
審理の方法態度と裁判官忌避について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
元来、裁判官の忌避の制度は、
裁判官がその担当する事件の当事者と
特別な関係にあるとか、訴訟手続外において
すでに事件につき一定の判断を形成しているとかの、
当該事件の手続外の要因により、当該裁判官によっては、
その事件について公平で客観性のある
審判を期待することができない場合に、
当該裁判官をその事件の審判から排除し、
裁判の公正および信頼を確保することを目的とするものであって、
その手続内における審理の方法、態度などは、
それだけでは直ちに忌避の理由となしえないものであり、
これらに対しては異議、上訴などの不服申立方法によって
救済を求めるべきであるといわなければならない。
したがって、訴訟手続内における審理の方法、態度に対する
不服を理由とする忌避申立は、
しょせん受け容れられる可能性は全くないものであって、
それによってもたらされる結果は、
訴訟の遅延と裁判の権威の失墜以外にはありえず、
これらのことは法曹一般に周知のことがらである。
本件忌避申立の理由は、本件被告事件についての、
公判期日前の打合せから第一回公判期日終了までの
本件裁判長による訴訟指揮権、法廷警察権の行使の不当、
なかんづく、第一回公判期日において、
被告人および弁護人が、裁判長の在廷命令を
あえて無視して退廷したのち、入廷しようとしたのを
許可しなかったことおよび必要的弁護事件である
本件被告事件について弁護人が
在廷しないまま審理を進めたことをとらえて、
同裁判長は、予断と偏見にみち
不公平な裁判をするおそれがあるとするものであるところ、
これらはまさに、同裁判長の訴訟指揮権、法廷警察権の行使に対する
不服を理由とするものにほかならず、
かかる理由による忌避申立の許されないことは前記のとおりであり、
それによつてもたらされるものが訴訟の遅延と
裁判の権威の失墜以外にはない本件においては、
右のごとき忌避申立は、訴訟遅延のみを目的とするものとして、
同法24条により却下すべきものである。
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