刑訴法第402条に違反しないとされた事例
(昭和39年5月7日最高裁)
事件番号 昭和38(あ)1657
この裁判では、
第一審が被告人に対し禁錮2年6月の刑を言い渡したのを
第二審が懲役2年に変更したのは、
第一審判決を被告人に不利益に変更したものかについて
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
刑訴402条のいわゆる不利益変更禁止の規定に違反するか否かは、
第一、二審において言い渡された主文の刑を、
刑名等の形式のみによらず、具体的に全体として綜合的に観察し、
第二審の判決の刑が第一審の判決の刑よりも
実質上被告人に不利益であるか否かによって
判断すべきものであることは、
当裁判所の屡次の判例〔昭和25年(あ)第2567号
同26年8月1日大法廷判決集5巻9号1715頁、
昭和25年(れ)第四九四号同25年8月9日
第二小法廷判決集4巻8号1550頁、
昭和28年(あ)第3434号同年12月25日
第三小法廷判決集7巻113号2749頁、
昭和29年(あ)第2649号同30年4月5日
第三小法廷判決集9巻4号652頁、
昭和34年(あ)第2182号同37年6月18日
第二小法廷決定集16巻7号1265頁参照。〕
とするところである。
本件において、被告人に対する自由拘束、
法益剥奪は実質的にいずれが重いかを具体的綜合的に考察すれば、
第一審判決が被告人に対し禁錮2年6月の刑を言い渡したのを原審が
懲役2年の刑に変更したからといって、
原判決が第一審判決の言い渡した刑を
被告人に不利益に変更したとはいえない。
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