産業廃棄物の最終処分場の周辺住民の原告適格
(平成26年7月29日最高裁)
事件番号 平成24(行ヒ)267
この裁判では、
産業廃棄物処分業及び特別管理産業廃棄物処分業の許可処分及び
許可更新処分の取消訴訟及び無効確認訴訟と
産業廃棄物の最終処分場の周辺住民の原告適格について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
(1)ア 行政事件訴訟法9条は,取消訴訟の原告適格について規定するが,
同条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき
「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により
自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,
又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり,
当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を
専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,
それが帰属する個々人の個別的利益としても
これを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,
このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり,
当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は,
当該処分の取消訴訟における原告適格を
有するものというべきである。
そして,処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された
利益の有無を判断するに当たっては,
当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,
当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において
考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮し,
この場合において,当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては,
当該法令と目的を共通にする関係法令があるときは
その趣旨及び目的をも参酌し,当該利益の内容及び
性質を考慮するに当たっては,
当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に
害されることとなる利益の内容及び性質並びに
これが害される態様及び程度をも勘案すべきものである
(同条2項,最高裁平成16年(行ヒ)第114号同17年12月7日
大法廷判決・民集59巻10号2645頁参照)。
そして,行政事件訴訟法36条は,
無効等確認の訴えの原告適格について規定するが,
同条にいう当該処分の無効等の確認を求めるにつき
「法律上の利益を有する者」についても,
上記の取消訴訟の原告適格の場合と同義に解するのが相当である
(最高裁平成元年(行ツ)第130号同4年9月22日
第三小法廷判決・民集46巻6号571頁参照)。
イ また,行政事件訴訟法37条の2第3項は,
同法3条6項1号所定の義務付けの訴えの
原告適格について規定するが,
当該処分の取消処分の義務付けを求めるにつき
「法律上の利益を有する者」についても,
上記アの取消訴訟の原告適格の場合と同様の観点から
判断すべきものと解するのが相当である
(同法37条の2第4項参照)。
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