貸金業法4条1項2号に定義されている同法6条1項9号の「役員」に監査役は含まれるか

(平成26年7月18日最高裁)

事件番号  平成24(行ヒ)459

 

この裁判では、

 貸金業法4条1項2号により定義されている

同法6条1項9号の「役員」に監査役は含まれるかについて

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

貸金業法は,「役員」の定義を定める規定

(以下「役員定義規定」という。)を

本件定義規定のほかにも置いているところ,

貸金業務取扱主任者の欠格事由に係る

24条の27第1項3号及び貸金業協会の定款記載事項に係る

31条8号の各役員定義規定はいずれも本件定義規定と同一であり,

役員の解任命令に係る24条の6の4第2項の役員定義規定は

「業務を執行する社員,取締役,執行役,代表者,

管理人又はこれらに準ずる者」までの文言が本件定義規定と同一であり,

いずれも監査役を列記していないのに対し,

信用情報提供等業務を行う者の指定の要件に係る

41条の13第1項4号及び紛争解決等業務を行う者の指定の要件に係る

41条の39第1項4号の各役員定義規定は,

「業務を執行する社員(中略),取締役,執行役,会計参与(中略),

監査役,代表者若しくは管理人又はこれらに準ずる者をいう。」

と規定しており,監査役を明文で列記している。

 

このように,貸金業法中の各役員定義規定には,

本件定義規定と同様に監査役を列記しないものと

これを明文で列記するものとの各類型の規定が併存しており,

しかも,平成18年法律第115号による改正においては

既存の本件定義規定に加えて上記各類型の規定が

それぞれ同時に新設され(24条の6の4第2項,

24条の27第1項3号,31条8号,41条の13第1項4号),

平成21年法律第58号による改正においても

再び監査役を明文で列記する類型の規定が新設され(41条の39第1項4号),

上記各改正の度に4条1項2号中の本件定義規定の及ぶべき範囲の定めが

改正されていることからすると,同法中の各役員定義規定において

監査役を明文で列記するかどうかはあえて区別して

差異が設けられているものということができる。

 

このように,貸金業法の各役員定義規定の間では

監査役の列記の有無につき区別して

差異が設けられているのであるから,

これを列記していない類型の規定である本件定義規定にいう

「これらに準ずる者」に監査役が含まれると解することは,

その定義の内容に含まれる者の範囲に関する解釈が

事業を営むのに必要な登録の取消し等の

不利益処分の要件に関するものであることに鑑みても,

上記類型の規定の解釈として困難であるといわざるを得ない。

 

また,本件定義規定にいう「いかなる名称を有する者であるかを問わず,

法人に対し,これらの者と同等以上の支配力を有するものと認められる者として

内閣府令で定めるもの」についても,

本件定義規定の委任に基づく貸金業法施行規則2条に

監査役は掲げられていないから,

監査役は上記内閣府令で定めるものに該当しない。

 

したがって,本件定義規定により定義されている

貸金業法6条1項9号の「役員」に

監査役は含まれないものと解するのが相当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

判例をわかりやすく解説コーナー


行政書士試験にわずか147日で合格した勉強法

行政書士受験生にオススメのAmazon Kindle Unlimitedで読める本


スポンサードリンク

関連記事