自動車引渡請求事件
(平成29年12月7日最高裁)
事件番号 平成29(受)408
この裁判では、
自動車の購入者と販売会社との間で当該自動車の所有権が
売買代金債権を担保するため販売会社に留保される旨の合意がされ,
売買代金債務の保証人が販売会社に対し保証債務の履行として
売買代金残額を支払った後,購入者の破産手続が開始した場合において,
保証人が留保所有権を別除権として行使することの可否について
裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
保証人は,主債務である売買代金債務の弁済をするについて
正当な利益を有しており,代位弁済によって購入者に対して
取得する求償権を確保するために,
弁済によって消滅するはずの
販売会社の購入者に対する売買代金債権及び
これを担保するため留保された所有権(以下「留保所有権」という。)を
法律上当然に取得し,求償権の範囲内で売買代金債権及び
留保所有権を行使することが
認められている(民法500条,501条)。
そして,購入者の破産手続開始の時点において販売会社を
所有者とする登録がされている自動車については,
所有権が留保されていることは
予測し得るというべきであるから,
留保所有権の存在を前提として破産財団が構成されることによって,
破産債権者に対する不測の影響が生ずることはない。
そうすると,保証人は,自動車につき
保証人を所有者とする登録なくして,
販売会社から法定代位により取得した留保所有権を
別除権として行使することができるものというべきである。
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