リラックス法学部 >憲法判例>憲法判例 東大ポポロ事件の概要と判決をわかりやすく解説
東大ポポロ事件
(最判昭和38年5月22日)
事件番号 昭和31(あ)2973
東京大学の学生団体「ポポロ劇団」が
大学の正式な許可を得て大学の教室内で、
松川事件を題材とする演劇発表会を開催しました。
(松川事件とは、列車往来妨害事件で、
容疑者が逮捕され、
第一審で5名が死刑、5名が無期懲役
の判決がされましたが、
事件から15年目の最高裁で全員無罪となった
国鉄三大ミステリーのひとつと言われている事件です。)
この演劇を発表している際、
観客の中に私服警官4名がいるのを学生が発見し、
3名の身柄を拘束し、警察手帳を奪い、
謝罪文を書かせました。
この際の学生の行為に暴行があったとして、
暴力行為等処罰に関する法律違反として
起訴されました。
なお、警察官は、
長期にわたって連日大学構内に立ち入り、
張り込み、尾行、盗聴などによって、学生、教職員、
学生団体の情報収集をしていました。
この裁判で注目されたポイントは、
大学の学問の自由、自治と警察権力との衝突の点です。
第一審は、学生の行為は大学の自治を守るための
正当な行為であるとし、無罪としました。
控訴審もこれを支持しましたが、最高裁は、
この演劇の題材が当時問題とされていた
松川事件であることから、
この演劇発表会が学問研究のためのものでなく、
実社会の政治的社会的活動であり、
かつ公開の集会またはこれに準じるものであつて、
大学の学問の自由と自治は、これを享受しないとして、
集会に警察官が立ち入ったことは、
大学の学問の自由と自治を犯すものではないとしました。
なお、この判決には、
「警察官が長期に渡って情報収集活動をしていた事が
適切に考慮されていない」
という批判や、
「学問研究か否かの判断は
事実上極めて困難なものであるが、
大学が正式に教室の使用を許可した
判断を尊重していない」
という批判もあります。
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