リラックス法学部 >民法初学者の部屋②債権各論・家族法(親族法・相続法) >同時履行の抗弁権についてわかりやすく解説

 

双務契約の当事者の一方が、

相手方が債務の履行を提供するまで、

自分の債務の履行を拒絶できる権限を、

同時履行の抗弁権といいます。

 

「お代をいただくまで商品はお渡しできません」

という具合です。

逆に相手からしても

「商品をもらうまで代金は支払いません」

と言う事もできるわけです。

 

訴訟において、

同時履行の抗弁権が主張されたときは、

裁判所は一方の債務の履行と引換えに、

もう一方の債務の履行を命じる引換給付判決する

こととなっています。

 

つまり「どっちも履行しなくてよし」

とせず、「どっちも履行しなさい」

として、問題をはやく片付けていきたいスタンスです。

 

 

(同時履行の抗弁)

第五百三十三条  双務契約の当事者の一方は、

相手方がその債務の履行を提供するまでは、

自己の債務の履行を拒むことができる。

ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。

 

ただし書きにある通り、

相手方の債務が弁済期になっている事が必要です。

 

同時履行の抗弁権を有している限り、

履行期日を過ぎても違法ではなく、

履行遅滞の責任を負いません。

 

同時履行の抗弁権の類推適用

弁済と受取証書(領収書)の交付は

同時履行の関係に立つとされています。

つまり、

「領収書をいただけないなら支払いをしません」

という主張が正当なものとして

認められるということです。

 

原状回復義務も同時履行の関係に立ちます。

 

例えば、未成年であることを理由に契約を取り消した時に、

お互いに返還するものがあるときに、

それらの返還義務は

同時履行の関係になるという具合です。

 

借地人が借地借家法13条の

建物買取請求権を行使した場合は、

建物だけでなく、その敷地の明渡しについても、

同時履行の抗弁権が及ぶとされています。

 

なお、借地借家法33条の造作買取請求権については、

建物の明渡しと同時履行の関係に立たないとされています。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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