(所有権の取得時効)
第百六十二条 二十年間、所有の意思をもって、
平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
2 十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、
その占有の開始の時に、善意であり、かつ、
過失がなかったときは、その所有権を取得する。
民法162条関連判例
・公共の用に供せられるべきもの(道路など)については、
公用廃止のない限り、本法上の取得時効によって、
その所有権を取得する事はできない。
(大判大8・2・24)
・一筆の土地の一部も
時効により取得することができる。
(大連判大13・10・7)
・公共用財産が、長年の間、事実上、
公の目的に共用される事なく放置されていて、
公共用財産としての形態、機能を全く失っていて、
その物の上に、平穏かつ公然の占有を続けたが、
そのために実際上、公の目的が害される事なく
もはやその物を公共用財産として
維持すべき理由がなくなったような場合には、
この公共用財産については
黙示的に公用が廃止されたものとして、
取得時効の成立を妨げない。
(最判昭51・12・24)
・時効期間は、時効の基礎たる事実が
開始された時を起算点として計算すべきで、
時効援用者の選択で起算点を
早めたり遅らせたりする事はできない。
(最判昭35・7・27)
・取得時効により不動産を取得し、
その旨の登記を有する者は、
当該取得時効の完成後に設定された
抵当権に対抗するため、その設定登記を
起算点とする再度の時効取得は認められない。
(最判平15・10・31)
・他人の所有する土地に権限によらず
自己所有の樹木を植えつけた者が、
この植え付けの時から所有の意思をもって
平穏かつ公然と、この立木を20年間占有したときは、
その者は取得時効により、
この立木の所有権を取得する。
(最判昭38・12・13)
・本条の「占有者」には
権利なくして占有した者のほか、
所有権に基いて占有した者も含まれる。
(最判昭42・7・21)
(リラックスヨネヤマコメント…
つまり自分に所有権があるという事を
争った時、他の証明方法よりも
時効取得を主張した方が簡単な場合に
時効取得を主張してしまえばよいという事です。)
・占有における所有の意思の有無は、
外形的客観的に定められるものである。
賃貸借により取得した占有は、
賃貸借が法律上効力を生じない場合であっても、
他主占有となる。(最判昭45・6.18)
・共同相続人の一人が、
単独に相続したものと信じて疑わず、相続開始とともに
相続財産を現実に占有し、その管理、
使用を行い収益を独占し、公租公課も自己の名で
その負担において納付してきており、
これについて他の相続人が何ら関心をもたず、
異議も述べなかった場合、
この相続人は相続の時から相続財産につき
単独所有者としての 自主占有を取得したものとする。
(最判昭47・9・8)
・所有の意思は外形的客観的に定められるが、
登記名義人に移転登記を求めなかったり、
固定資産税を負担しなかったなどの事情をもって、
所有の意思がないとすることはできない。
(最判平7・12・15)
・本条の善意無過失とは、
自己に所有権があるものと信じ、かつ、
そう信じるにつき過失がない
ことをいう。占有の目的物に対し
抵当権が設定・登記されている事を
知っていたり、また、不注意により知らなかった場合でも、
本条のいう善意無過失の占有というのを妨げない。
(最判昭43・12・24)
・時効が完成しても、その登記がなければ、
その後に登記を経由した第三者に対抗できないが、
第三者のなした登記後に時効が完成すれば、
その第三者に対して登記をなくして
時効取得による所有権取得を対抗できる。
(最判昭41・11・22)
・不動産の時効完成前に原所有者から所有権を取得し、
移転登記を経由したものに対し、その後の時効取得者は
登記なくして時効取得による所有権の取得を対抗できる。
(最判昭41・11・22)
・不動産の時効取得者は、時効完成前にその所有権を取得して
時効完成後に移転登記を経由したものに対して
登記なくして所有権を対抗できる。
(最判昭42・7・21)
・行政書士受験生にオススメのAmazon Kindle Unlimitedで読める本
スポンサードリンク
関連記事