リラックス法学部 行政法をわかりやすく解説 >取消訴訟の事情判決の法理とは?わかりやすく解説

 

取消訴訟には、

「事情判決」という特殊な判決があります。

 

これは原告の主張が認められ、

争われている処分・裁決が違法であり、

取消すべきと判断したものの、

これを取消すと公の利益に著しい障害が生じるという場合に、

原告の請求を棄却するというものです。

 

行政事件訴訟法31条に事情判決についての規定があります。

 

(特別の事情による請求の棄却)

第三十一条  取消訴訟については、

処分又は裁決が違法ではあるが、

これを取り消すことにより

公の利益に著しい障害を生ずる場合において、

原告の受ける損害の程度、

その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他

一切の事情を考慮したうえ、

処分又は裁決を取り消すことが公共の福祉に

適合しないと認めるときは、

裁判所は、請求を棄却することができる。

この場合には、当該判決の主文において、

処分又は裁決が違法であることを宣言しなければならない。

 

 

 

このように、諸々の事情を判断した上で、

処分又は裁決を取消す事による公共の福祉の

影響を考え、

「処分又は裁決は違法である事は認めますが、

これを取消しはしません」と、

原告の請求を棄却するのが事情判決です。

 

この場合、判決の主文で、

処分又は裁決が違法であることを

宣言しなければなりません。

 

これにより、

処分が違法であった事に既判力が生じます。

 

「既判力」とは確定した判決の主文に書かれていることは、

以後これに抵触する主張ができなくなるという効果です。

「それはもう決まった事なので蒸し返しはできません」

という事です。

 

ですから、事情判決がされた処分又は

裁決は違法なものという事が確定し、

後日、これを違法でないという主張を

することはできなくなります。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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