民法を学習する上で、
権利能力、意思能力、行為能力という概念を
しっかり理解することが重要です。
今回はそのひとつひとつを解説していきます。
権利能力
権利義務の主体となれる地位または資格をいいます。
「権利義務の主体」とは、
なんとなく難しい言葉ですが、
要は物を売ったり買ったりするできるという、
自然人(人間)であれば誰もが当然に持つ能力である。
自然人は出生により権利能力を取得し、
死亡により消滅します。
「出生」については、
胎児が母体から一部露出した時点で
出生とする説(一部露出説)、
胎児が母体から全部露出した時点で
出生とする説(全部露出説)などがありますが、
全部露出説が通説となっています。
つまり、母体から全身が出た赤ん坊は、
その瞬間から「権利義務の主体」
となることができますので、
地主になることも可能だし、
莫大な借金を背負うということにも
なりうるということです。
また、権利能力は死亡により消滅しますので、
死者が買い物はできないし、
人が死んだら財産は生きている人間に
相続するということです。
この「権利能力」は自然人であれば
当然にすべての人間に認められ、
また、逆に自然人以外の犬やロボット、
初音ミクさんなどの架空の人物には、
認められませんが、自然人以外に、
権利能力が認められる場合があります。
株式会社や財団法人、
財団法人などといった「法人」です。
法律の勉強をしていなくても、
日常「法人」という言葉は耳にし、
つかっていることと思いますが、これは
「法律上、人とみなす」ということなのです。
つまり、株式会社も自然人と同じく、
株式会社名義の不動産を所有することができますし、
株式会社名義で莫大な借金を負う
ということもあるわけです。
権利能力とは、このように
「権利義務の主体となれる能力」だと、
しっかりと認識しておきましょう。
意思能力
意思能力とは、自分の行為の結果を判断できる能力をいう。
例えばモノを買ったり、売ったりするということの
「意味が理解できる能力」です。
何歳で意思能力が備わるというような、
年齢による明確な線引きはありませんが、
だいたい10才前後で備わる能力とされています。
意思能力のない者のした契約は「無効」となります。
意思能力があるかないかは、
それぞれの人で個別に判断されることになりますが、
例えば 3才の子供には明らかに意思能力はないので、
3才の子供が契約をした場合、 その契約は無効となります。
この後登場する「行為能力」が
制限された者がした行為は、
無効ではなく、「取り消しできる一応な契約」となりますので、
この違いを注意してしっかり認識しておきましょう。
行為能力
行為能力とは、単独で有効に契約できる能力をいいます。
行為能力が制限された者、つまり
一人では有効な契約ができない者を
「制限行為能力者」といい、
成年被後見人、被保佐人、被補助人、未成年者の
4種類があります。
制限行為能力者がした契約は、
「取り消すことができる契約」となります。
3才の子供がした契約は無効であり、
取り消すまでもなく無効であり、
19歳の大学生が単独でした契約は、
取り消すまでは、一応有効であるということです。
ということをしっかり理解した上で、
制限行為能力者について個別の規定を
学習していただければと思います。
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