リラックス法学部 >労働法をわかりやすく解説 >労働基準法の「使用者」の定義とは?わかりやすく解説
労働基準法10条は、この法律でいう
「使用者」の定義を規定しています。
第十条 この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他
その事業の労働者に関する事項について、
事業主のために行為をするすべての者をいう。
使用者とは、労働基準法に規定された義務についての
履行の責任を負う者をいいます。
これに該当するかどうかは、
役職、肩書の形式にとらわれることなく、
実質的に一定の権限が与えられているか
否かで判断されます。
単に上司の命令を伝達するにすぎない者は、
「使用者」とはなりません。
社労士は、労働基準法に基づく申請等について、
代理の委任を受けて
事務代理をすることができますが、
任務の懈怠により申請を行わなかった場合、
労働基準法の「使用者」にあたり、
この規定の責任を問われることになります。
移籍型出向の場合、出向元との労働契約関係は消滅し、
出向先との間にのみ労働契約関係が存在し、
出向労働者についての使用者としての責任は、
すべて出向先が負うことになります。
在籍型出向の場合は、出向労働者は、
出向元、出向先双方との間に
労働契約関係を有することになります。
この場合、使用者としての責任は、
出向労働者、出向元、出向先の間での
取り決めによって定められた権限と責任に応じて、
それぞれ出向元、出向先が負うことになります。
派遣労働者については、原則として
派遣労働者との労働関係にある派遣元が
責任を負うことになりますが、
労働者派遣法44条に特例が定められており、
労働者派遣の実態から派遣元に責任を問い得ない事項、
派遣労働者の保護をするために
派遣先に責任を負わせることが適切な場合は、
派遣先が責任を負うことになります。
具体的には、派遣元が使用者責任を負う事項は、
労働契約、賃金、割増賃金、
年次有給休暇、災害補償、就業規則などについて、
派遣先が使用者責任を負う事項は、
公民権行使の保障、労働時間、休憩、休日などに
ついてということになります。
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