リラックス法学部 >行政法をわかりやすく解説 > 行政法 権限の代理・権限の委任
民法で学習した代理の制度ですが、行政庁でも
権限の代理と権限の委任のシステムがあります。
行政庁は、みずからその権限を行使するのが
原則ではありますが、
他の行政機関に権限の全部または一部を代わって
行使させることができます。
行政庁の権限の代理は2つあります。
行政庁の権限の代理
①授権代理
授権代理は、行政庁が権限を付与すること(授権)により
代理権が与えられる場合です。
授権代理は行政庁の権限の一部を代理させることです。
権限のすべてを代理させることはできません。
代理人は顕名(行政庁の代理であることを表示)
しなければならず、
本来の行政庁はその権限を失いません。
授権代理の場合は法律の根拠は不要です。
②法定代理
法定代理は法律を根拠とした代理で、
法律の規定が必要(「法定」代理なので当然ですが)です。
行政庁が死亡などで不在となった場合や、
事故の場合など、行政庁が意思表示ができない場合に、
法定代理が発生します。
法定代理の場合は、代理人は全権限を代理し、
代理権の範囲は、
原則として行政庁の権限のすべてに及ぶとされていますが、
一身専属的な権限については、
代理できないと考えられています。
代理を任せた行政庁は
指揮監督することができません。
といいますか、
不在や事故の場合に法定代理が発生しているので、
物理的に指揮監督できません。
指揮監督できる状態なら
自分でやれという事になりますので…。
権限の委任
権限の委任は、行政機関が
その権限の一部を下級行政機関や、
他の行政機関に委任することです。
権限の全部または主要部分を委任することは
本来の行政庁の存在意義を失わせてしまうことに
なるためすることはできません。
権限の委任をするには法律の定めがあることが必要です。
また権限を委任したことを公示することが必要です。
権限を委任した機関は、
もうその権限を行使することはできなくなります。
そして指揮監督することもできなくなります。
ただし、例外として権限を委任した機関が
委任された機関の上級機関であれば
指揮監督をすることができます。
委任された機関は、
自己の機関の名で行使します。
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